2シーズンに渡るイタリアへの挑戦を経て、現在はFリーグ・ディビジョン2に所属するアグレミーナ浜松で昇格を目指す三嶽侑平 選手。ピッチの外ではYouTubeでの発信や柔道整復師としての専門知識を活かしたキャリアにも挑む彼のイタリアでの挑戦の日々にNineTimesNine が迫っていく 

-イタリアから帰国し現在日本でプレーを続けていますが、自身のキャリアを振り返ってイタリアでの2シーズンはどんな経験でしたか?


イタリアでは  Pellegrino Sport C5 、Foligno Calcio a 5 と2シーズンに渡りプレーをし、どちらのシーズンも15点以上得点を取ることができたので外国人選手として最低限の結果は残せたのかなと思っていますが、個人的には"悔しい" 経験だったという印象が強いですね。


-結果だけを見るととても充実した2シーズンに見えるのですが


そうですね、数字だけを見れば納得のいくシーズンではあったのかもしれませんが、イタリアへ挑戦すると決めたときからの目標であったトップカテゴリーであるセリエAからのオファーは無く、目標であった舞台でプレーをする機会を作れなかった事が自分の中でとても大きく残っていて、今振り返っても悔しい経験だったなというのが本音です。


-数字に残る結果を残せたとしてもトップカテゴリーへたどり着くまでの道のりは容易ではないのですね。日本とイタリアでフットサルの違いなどは感じましたか?


技術面では日本人が持っているベースは世界でも通用する部分は多いと思いますが、勝負がかかった場面で結果を出す能力の高さはやはり日本人と比べ抜きん出ているなと感じました。僕の場合2シーズンとも外国人枠としてチームに必要とされる状況下の中でプレーをさせてもらっていたので、特に自分と同じ立場である外国人選手の勝負強さには本当に驚かされました。人生をかけて戦うってこういう事なのかと。



- なるほど。 外国人枠として結果を出さなければクビにされるという危機感を持ち、シーズンを通して戦い続ける経験は日本では味わうことができないかもしれませんね。


本当にそうだと思います。今でも覚えているのはシーズン終盤でチームのプレイオフがかかった試合があったんですけど、試合が始まる前にチームの会長がロッカールームで外国人選手を呼び出し「この試合負けたらお前ら全員クビだから」と言われたことがあって。


-負けたらクビ。試合前に会長から直接言われたんですか?


そうなんですよ。会長からしたら試合前に緊張感を持てとプレッシャーを与える意味で言ったのかもしれませんが僕達外国人選手からしたらたまったもんじゃないですよね。その試合は結果5-1で勝利したんですが5点のうちの4点はアルゼンチン人が決めました。僕も1点決めることができましたが 目の色変えてピッチの中で闘いチームを鼓舞し続け結果を残したアルゼンチン人をそばで見ていて 悔しさと共に、これが外国人選手として生きていくってことなんだなと学びました。

-現在 日本フットサルリーグ F2リーグに所属するアグレミーナ浜松 へと活躍の場を移した三嶽選手ですが、柔道整復師の資格を活かし医療介護の現場でのキャリアも両立しているとのことですが、競技と仕事の両立において大切にしている事はありますか?


アスリートの仕事の両立ってピッチの外で起きたことに対してポジティブに消化できるような分野で働く事ができて初めて同じモチベーションで2つのキャリアを両立することができると思っていて。僕自身 柔道整復師の資格を持っていることもあり、今は選手として生活を送りながら医療介護の業界で働く事ができているのですが仕事と両立をしている選手の中でもピッチ外での物事に引っ張られてそれがプレー面でもストレスとして現れることも珍しくなく、ピッチ外で上手くいかない事がプレーに影響したり、プレーで上手くいかない事が仕事に影響したりとそこのオンとオフは大切にするよう心掛けているつもりです。


-選手として生活を続けるなかで プレー面への影響を考えるとセカンドキャリアも視野に入れたピッチ外での活動も重要ですが、アスリートとしてのモチベーションの両立を続けられる分野を選ぶ事も重要なポイントになってきますね。



やはり自分が望んでいるアスリートとしての「選手生活」が軸に置けている分、ピッチ外のキャリアを考えたときに、自分の興味がある分野じゃないとどうしても競技以外で起きる物事に対してのアプローチがポジティブになりきれない部分が少なからずあると思います。僕自身アグレミーナ浜松 で2シーズン目を迎えますが今はピッチ内とピッチ外のバランスが上手く取れている状態だと思っているので引き続き選手として上を目指しながらピッチ外での活動も積極的に続けていきたいですね。

-少しずつですがフットサル業界でも海外への挑戦を目指す選手が増えていると思いますが、三嶽選手からアドバイスなどがあればお願いします。


僕が送る言葉は「行ける時に行け」 ですね。

イタリアへの挑戦から8年の月日が経ちますが、会長から「この試合結果を出さなかったら日本に帰ってもらう」と面と向かって言われた試合で自分が点を決めた瞬間の 見たかやってやったぜという興奮と得点に歓喜し自分の名前を連呼するサポーターの姿は今でも鮮明に覚えています。イタリアに挑戦していなかったらフットサルという競技を通じてこんな感情が揺さぶられるような経験はできなかったなと。ただそれと同時に、その国の文化や価値観などに違和感を感じたのであれば、期間を自分で設けて撤退する勇気も必要だ思っていて、人生を生きていく中で本能的に感じる違和感って自分自身の正しい物差しだと思うので、挑戦を続ける上で「撤退する」という選択も大切な勇気の使い方の一つだと伝えたいですね。


- シーズン開幕前にも関わらず貴重なお時間をいただきありがとうございました。NineTimesNineは これからも続く三嶽選手の素晴らしい挑戦を追わせていただきます。最後に今後のビジョンなどがあれば教えてください。


一番は選手として自分の事を評価してくれるチームと一つでも上の順位やカテゴリーに上り詰めたいという野心はありますが、その気持ちがなくなった時は選手として引退するタイミングだとも決めているので、後悔が無いよう十年後の自分が今の自分を見て誇りに思えるような選択をし続け、選手としても一人の人間としても挑戦を続け成長していきたいと思います。



Photo by    白石 祐士  @yujiwstone

Futsal Player

YUHEI MITAKE